日本財団 図書館


 

組みづくりについて議論が行われた。

わが国では、1994年5月に通商産業省が「高度情報化プログラム」を、郵政省の電気通信審議会が「情報通信基盤整備プログラム」をそれぞれ発表したが、翌年1月にはG7に向けそれぞれが中間提言を行った。つまり、産業構造審議会情報産業部会基本問題小委員会の「グローバルな高度情報化社会の実現を目指して」と電気通信審議会通信政策部会の「21世紀を展望した高度情報通信基盤の整備に向けた国際的連携のあり方について」である。そして、これら一連の成果を集大成する形で、1995年2月に政府の高度情報通信社会推進本部から、日本版NIIと称される「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」が発表された。

アメリカが発表したNIIは、これまでのインフラの議論が主に通信やネットワークといったツール面のみを重視していたのに対し、アプリケーションやコンテンツをも含めて総合的にとらえようとしたところが画期的であった。つまり、規制や知的財産権などの各種制度、あるいはアプリケーションの当事者としての企業、行政機関、学校などきわめて対象が広範囲となり、各国の産業、経済、社会のあらゆる分野が情報インフラとは無関係ではなくなった。

ヨーロッパでは、EU加盟国を対象としたインフラ整備への取り組みのほか、フランスにおけるテリー報告、イギリス貿易産業省が94年末に発表した「イギリスにおける広帯域通信の網開発」と題したスーパーハイウェイ構想など先進主要国が個別にNIIを展開しようとしている。EUとしては、かねてから情報技術分野における国際競争力強化のための基盤整備が急務であるとして、フレームワークプログラムを策定し、その中で数々のプロジェクトを推進してきた。そのうち通信インフラ関係としては、ヨーロッパ全域にまたがるネットワーク構築を目的としたTEN(Trans European Network)計画、あるいは統合広帯域通信網の構築によるヨーロッパの電気通信設備・サービス市場の統合を目指すRACE(Research and Development in Advanced Communication Technology in Europe)が代表的なものである。一方、1993年12月にEC委員会が取りまとめた「成長、競争力、雇用に関する白書」における電気通信インフラ整備の重要性の指摘、またこれの具体化を提案した情報化社会に関するハイレベルグループ(ハンゲンマンEC産業政策担当委員長)がまとめた報告書、「ヨーロッパとグローバル情報化社会」によるヨーロッパ版スーパーハイウェイ構想がある。委員長の名前をとり「ハンゲマンレポート」とも称される同レポートは、

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION